ちょこれいと本舗
ここはちょこさんと猫さんの経営するお店です。
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恋する暗部
記入者 猫
カカシはナルトをだっこしたまま夜店を見て歩く。
二人の背後で赤い風車がくるくる回った。
「みてみてナルの舌、真っ赤」
りんご飴を噛っていたナルトがカカシの方を見上げて赤くなった舌を出す。ラムネを片手に持たされていたカカシは、驚いた様子で腕の中の子供を見下ろした。
「ねっ、ねっ、いぬもべーってやってってば!」
ナルトの言葉にカカシは驚いたように目を見開く。りんご飴で赤くなった唇。
いっそ毒々しいまでの合成着色料が目にも鮮やかで、
小さくも薄っぺらな赤い舌がカカシを誘うように出される。
カカシはとまっていた息を吐くと、今度は優しくくつりと笑った。
「かーあいい。お化粧してるみたいだね」
「うにゅ?」
「綺麗だね、って言ったんだよ」
真ん丸い頬を優しく撫でられ、ナルトは不思議そうに色違いのオッドアイを見上げる。カァシ、すっごくやさしい顔してうってば・・・・。かくんと首を傾けてると、カカシの影がナルトに落ちた。
「……いにゅ!?」
カカシはゆっくりとナルトに顔を近づけると幼い唇に口付けた。
あたたかい舌の感触にナルトは目を見開いて、カカシの着物の裾を握り締める。
カカシに舌を食まれ、柔らかな吐息を送り込まれナルトが声を漏らす。
あまりのことにナルトの視界にはちかちかと星が瞬いた。
「にゅ・・・・」
ぎゅっと、
騒ぐこともなく、しかし助けを求めるように、縋り震える腕に気付き、カカシはナルトの後頭部を掴む手を弛めた。
つう、とどちらのものとも知れない糸が伝う。
「・・・・・・・ナルト」
幼子に手を出してしまった罪悪感と、愛しさに、カカシは瞳を伏せた。
「いにゅ…どぉちたの?」
はふはふと息を上げながら蒼褪めた表情で見上げるナルトの頬をやんわりと撫でる。
目の前の青年に得体の知れない畏怖を感じ混乱しながらも、ナルトは青年の着物の裾を握る手を離そうとしなかった。唯一の寄る辺がカカシだからか、それとも別の理由があるのかわからないが、不安そうに縋りつく姿が愛おしさが込み上げてくる。
それは相手が自分だからだろうか。もしカカシだからという理由で掴む手を離さないでいてくれたのだとしたら嬉しい。
自分を伺うように見上げる潤んだ碧に、少々やりすぎたと思ったカカシだが、しかしつやつやと濡れている幼い唇に、だめだと自分の理性を叱りつつも、また誘われるように顔を近付けてしまい、再びふっくらとした朱唇に口付けようとした瞬間、
「ナルの舌、食べちゃめ~!」
小さな手のひらがぺちんとカカシの両頬を叩いた。
「もう、カァシってば変なことしないの~!め~なのよ?めっ!」
プンスカと怒るナルトにカカシは唖然として固まる。
ぺちぺちと先ほど食べた綿飴のせいでべとついた手がカカシの頬に当たった。
「カァシ、悪い子。ナルにめんしゃーいは?」
ぷっくりと片頬を膨らまし、子供の眉が逆への字に顰められて、め、めんしゃいってなんだよ、とカカシは幼児語にくらくらしたあと、ごめんなさいか、という結論にたどり着いた。
「ナルってばこの間じぃに教えて貰ったの。悪いことした時はめんしゃーいなのよ?」
カァシ知らないのダメな子ね?と得意満面の顔で威張るお子さまにカカシはハハハと乾いた笑いを浮かべたあと、ごめんねと小さく呟いた。
なにやってるんだか、オレは。子供の無邪気にさすがのカカシも理性を取り戻す。結局、この病にも似た焦がれるような想いはまだまだカカシの一人相撲のようで、早く大きくなって一緒に恋をしようね、とカカシはナルトを抱き締める腕を強めた。
はたけカカシ19歳。現職・暗部特攻隊長。好きなもの、大事なもの、守りたいもの、うずまきナルト。
たとえ今晩だけでも、仕事を放り出して、この子と過ごしてあげたいと思ってしまったオレは我儘だろうか。
だって、
きっと、まず間違いなく・・・・
この子には一生敵わない。
こんなにもオレを魅了してやまない金色なのだから。
end
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