ちょこれいと本舗
ここはちょこさんと猫さんの経営するお店です。
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twinkle twinkle 4
記入者 猫
twinkle twinkle
「おあ!!!」
顔面に飛びついて来た金茶の仔猫の反動で、ナルトは真後ろにあった電子レンジに後頭部を強打した。そのままズルズルと倒れそうになって、寸でのところを気合で持ち直す。
「うううー、いってぇ・・・・・」
軽く眩暈を起こしつつ、体勢を整えて、顔に貼り付いたままのふこふこふにゃふにゃの物体の首根っこをひょいっと掴み上げれば、ピンク色の肉球が空を彷徨っている。
「にゃーん、にゃーん、にゃーん!」
ジタバタバタ・・・・!離せー、離せーとでもいうような、その仕草は本当に一生懸命で、当人(猫?)は真剣そのもので暴れてるのだろうが、所詮手の平サイズの抵抗で、人間のナルトにはどうにも可愛らしく映ってしまう。
「ちっちぇー・・・・」
小さな身体をつぶさないように両手で仔猫の胴体を持ち直して、細心の注意を払って、壊れ物のように仔猫を抱き上げる。
仔猫は、見た目通り、ふこふこふにゃふにゃで、骨なんてないみたいだった。
そのうえ綿毛みたいに軽くて、この小さな生物がちゃんと息をして、鼓動を打っていること自体がナルトには不思議でならなかった。
「ははは、やっぱおまえかー」
若干、顔に貼り付かれた時に立てられたちっちゃな爪のおかげでボロボロチックになりつつも、ナルトは破顔した。元来、動物好きな性質なのである。残念ながら、彼のアパートはペット禁止なので、自分では何も飼うことはできなかったが、その反動で、コンビニの周りをうろついている野良猫たちに餌をあげるのが、ちょっとした日課になりつつあった。
おかげでナルトが帰る時間を狙ってコンビニの裏に猫たちが集まり出していることは、店長やヤマト隊長には内緒だ。
「最近見なかったけど元気にしてたってば?」
通じるわけがないと思いつつも、話掛けてしまうのは、ビー玉のように真ん丸い瞳に、妙な親近感があるせいだ。
「どーした、元気ないってばねぇ?」
仔猫は、ナルトに捕獲されたことが余程ショックだったのだろうか?それとも別の理由があるのかわからないが、酷く落ち込んでいるようだ。
くてんとなった姿が愛らしいが、あれだけ元気いっぱいだった仔猫がしょぼくれてると、可哀想になる。
「ん?」
金茶の仔猫を覗き込んでいたナルトの瞳が驚きと共に見開かれた。
「na、naruto・・・?おまえもナルトっていうのかよ?」
「にゃー?」
耳を垂らしてご丁寧にも尻尾までしょんぼりしていた金茶の仔猫が、己の名前を呼ばれたからか、こてんと、ふこふこの毛に覆われた首を傾げる。
「そっかおまえの名前はナルトなのか」
オレンジ色の首輪に刻まれてる銀色のプレートを読み上げながら、ナルトは金茶の仔猫を見つめ返す。
「あはは、お揃いだってば。オレもナルトって言うんだってばよ?」
幸い、店内に客の姿はなかったので、ナルトはカウンターに仔猫を降ろしてやる。
「ん・・・、よしよし。良い子だってばね?」
仔猫の顎の辺りを撫でてやれば、ゴロゴロと喉が鳴った。そのうち指先でくすぐられる心地良さから、仔猫が腹這いになって、ふみゃん、とコの字になる。
真ん丸いおなかを、こちょこちょとくすぐってやれば、にゃーん・・・と、ころんころんと身体を捩って、甘えるようにうっとりと目が細められた。
そういえば、大人猫に比べて、仔猫の方は人懐っこい性格をしていた。前にカカシが、〝可愛い〟と言って仔猫を感動したように抱き上げていたのを思い出して、ナルトは眉を潜めた。
「う・・・・・、ちょっとカカシ先生の気持ちがわかってしまったってば。ショック・・・・」
変態の気持ちがわかってしまったと同じニュアンスがあったのは、ただいま鼻歌を唄いながらコンビニに接近中の人間はたけカカシには大変失礼な・・・発言であったかもしれない。
男でガキな自分相手に「好きだよー」とさらりと言ってしまう愛情表現をする大人。カカシ先生ってば確かに顔はカッコイイんだけど、ちょっと変なとこが・・・あるんだよなぁなんて、そんな人間サイドの悩みを余所に金茶の可愛い仔猫と言えば、余程ナルトの指が気に入ったのか、前足を器用に使って、ナルトの人差し指をはしっと掴まえると、カプカプ小さな歯を立てて齧り付いている。
そんな無防備な姿を見下ろして、こんなに人懐っこくて警戒心がなかったら、あの大人猫も大変だってば、とナルトはなんとなく仏頂面っぽいクールな美猫を思い出して、笑いを噛み殺した。
「ん?」
気が付けば、ナルトの指をハムハムしていた、仔猫の碧い瞳が、パァアアアと傍目にもわかるくらい真ん丸く見開かれるではないか。
「んんん?」
宝石のサファイアのように綺麗な瞳。
キラキラビームのその先にあるものは・・・・・
「んー・・・?」
痩せ過ぎで骨が浮いている、とカカシに不評の、手首。そこに引っ掛かってるのは、ちょっとくたびれた感じのするミサンガ。
オレンジと緑のラインを交互に編み込んであるデザインのそれは、随分前にガチャポンでとったミサンガである。
「もしかしてこれが欲しいとか?」
にゃーん!!!
その瞬間、一人の人間と一匹の猫の間で会話の国境がなくなった、ような気がする。・・・あくまで人間ナルト視点ではあるが。
「おあ!?」
ぴょーんと猫ナルトがナルトの腕に向かって飛びついて来たので、つい、思わず、反射的に・・・ナルトは手を引いてしまった。
「あ・・・」
ぺしゃ、と変な音がして、カウンターの上で猫ナルトがへたっている・・・。
「・・・・・・あ、あ、あ、大丈夫だってば?」
こんなに小さくて、稚けない仔猫なのだ。か弱くて、体力もないに違いない。まさか、と屈み込んで覗き見ようとすると、にゃーん!と再びナルトに向かって仔猫が突進して来た。
つい、思わず、反射的に・・・・ナルトはまたしても仔猫を避けてしまった。
「みゃふん?」
「・・・・・・・・っ!!!」
カウンターを飛び越えて、まさに落下しようとした仔猫の首根っこをナルトが寸でのところで、掴まえる。
「な、な、な、な、なんて危ないニャンコちゃんなんだってば!?」
いくら猫とはいえ、まだまだちっちゃな仔猫だ。こんな高さから落ちたら怪我をしてしまうかもしれないではないか。ザザザーと蒼褪めて、片手で心臓が飛び出さないように抑えているナルトを余所に、金茶の仔猫と言えば、必死に前足を伸ばして、ジタバタバタ・・・・!
ちょーらい、ちょーらい!!!とナルトの右手のミサンガを食い入るように見つめてキラキラ瞳を輝かせている。
「人の気も知らないで・・・・」
右手のミサンガと左手の仔猫を、天秤か何かのように、見比べたナルトは、はぁ・・・とため息を吐いた。
「よしよし、同じ名前を持ってるよしみだってば」
特別だってばよ?とナルトは苦笑しながらも、仔猫を抱き抱えつつ、ミサンガを口で器用に外した。腕の中の仔猫が、期待いっぱいの顔でこちらをみつめて、前足を伸ばしている。
「気にいってたんだけどなぁ・・・」
呟きつつナルトは、ふとコンビニの外に視線を逸らす。
何かが、太陽の光を反射して輝いた気がしたのだ。なんだろうと首を捻りつつ、目を凝らして、次の瞬間ナルトは破顔した。
「・・・・・・・・・く、あはははは」
うわー・・・、ちょー過保護。と、ナルトは思わず爆笑してしまった。
なぜなら、仔猫と色違いの首輪を付けた左目に傷のある三白眼の猫が、コンビニの外でちゃっかり仔猫を見守っているのを発見してしまったからだ。太陽の反射で、光っていたのは、ブラックカラーの首輪についている銀色のプレート。
金茶のシマ猫に見つからないためだろうか。ご丁寧にも電信柱の影に隠れて、こちらを伺っている。
いやもう、本当にナイス。いいキャラしてるなぁ、とナルトは感心してしまう。
もしや、ずっと仔猫のあとをつけて、あのクールかつツーンとした顔を崩してハラハラしていたのだろうか。ちっちゃな仔猫のことが、心配で堪らないって表情だった。
ナルトは思わず腕の中でジダバタ暴れている金茶の仔猫を見下ろす。可愛くて、可愛くて、仕方ないんだろうなぁなんて思うと、
「おまえ愛されてるってばねー」
笑いすぎて目尻に溜まった涙を拭いながら、ナルトはニッコリと金茶の猫に微笑みかけた。ずっと大人猫に守られていたなんて露ほども気付いていない仔猫はミャーミャーと暢気な声で鳴いている。
また苦笑しつつ、ナルトはミサンガを金茶の仔猫に渡した。
また苦笑しつつ、ナルトはミサンガを金茶の仔猫に渡した。
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