ちょこれいと本舗
ここはちょこさんと猫さんの経営するお店です。
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twinkle twinkle 6
記入者 猫
twinkle twinkle
ニャーン、と金茶の仔猫がミサンガにじゃれついて、喜んでいる。
よっぽど欲しかったんだなと、ころころレジのカウンターに転がる仔猫を見下ろしてナルトは苦笑した。
「にゃ、にゃ、にゃーん!」
「うわっ」
またカウンターから、ころ、ころ、ころ、ころ、ころ、ころ、ころ、ころん・・・と落ちそうになった仔猫を抱き上げて「だから危ないってばよ〝めっ〟」と上目遣い気味に目を吊り上げて、叱ってやると、100%状況を理解していない暢気な声がみゃ~んと上がった。も、もしかしてこいつってば、いわゆる愛される可愛いオバカさんって奴なのだろうか?
「うわっ」
またカウンターから、ころ、ころ、ころ、ころ、ころ、ころ、ころ、ころん・・・と落ちそうになった仔猫を抱き上げて「だから危ないってばよ〝めっ〟」と上目遣い気味に目を吊り上げて、叱ってやると、100%状況を理解していない暢気な声がみゃ~んと上がった。も、もしかしてこいつってば、いわゆる愛される可愛いオバカさんって奴なのだろうか?
正解!とどこからか、ファンファーレが(Tさんからだと思われる)鳴り響いた瞬間、
仔猫のサファイアのような瞳が細められ、小さな身体が伸ばされたかと思うと、
“ちゅっ”とキスをされた。
「……………………」
にゃんこに唇を奪われた・・・・!?
ふんわりと、それでいてしっとりした感触。
初めての?体験に?ナルトが慄く。
いや、これは舐められたに近い行為なのだろうか。
呆気にとられるナルトを余所に金茶の仔猫は「ありがとう」とでもいうように無邪気に首を傾げてニャーンと鳴いた。
ナルトはぱちぱちと瞳を瞬かせたあと、ふにゃりと笑った。
なぜ、この仔猫がこれほど一生懸命ミサンガを欲しがったのかはわからない。
そもそもナルトは、今日が猫のカカシと、人間のカカシの誕生日だなんて知りもしなかった。
彼が、カカシの誕生日を知るのは、真夜中のことで、この時点では、カカシに誕生日プレゼントをあげるために猫の〝ナルト〟が奮闘しているなんて、思いもしなかった。
だけど、しょんぼりしたりしたり、途端にご機嫌になったりする百面相みたいな仔猫を見ていたら、自分も温かい気持ちになってしまったのだ。
ちょっとオバカかもしれないけど、一生懸命で、頑張り屋で、可愛くて、素敵なにゃんこちゃんだってば。
「にゃーん」
〝おにーさん、ありがとうってば、にゃーん〟
「どういたしましてってば?」
「にゃ、にゃーん」
「にゃ、にゃーん」
ナルトは仔猫に屈みこむと、タンポポの綿毛みたいにふわふわのほっぺに、ちゅっとキスをした。三本髭がぴょんと頬にふれてちょっとだけくすぐったい。―――その衝撃の光景に、再びコンビニの外のカカシ猫が衝撃のあまり固まっていたことも知らずに。
可哀想にカカシ猫は、人間のナルトと、愛しの恋猫であるナルトとのキスの場面をしっかりと目撃してしまい、ある意味おいしい?いやしかし複雑な?光景に、尻尾をピーンとさせたまま、宇宙の彼方まで意識を飛ばしてしまったようだ。
ちなみに人間カカシがこの光景を見掛けた場合も、やはりある意味生唾ものの?いやしかし複雑な?光景に固まったであろう。
そんなカカシ猫を余所にナルト×2は暢気なものである。
「さ、バイバイの時間だってば」
「にゃふん?」
「はい、丁重におかえししますってばよー?」
ナルトは仔猫を抱いたままコンビニの外に出ると、満面の笑みで、シルバーグレイの大人猫に、金茶の仔猫を差し出した。シルバーグレイの大人猫は、しばしダブルナルトを見て固まっていたようだが、愛しの仔猫が目の前に来ると、はっと我に返ったようだ。
そんな光景にナルトはふふふと笑ってしまう。
「うんうん、相変わらずカッコイイ猫だってば」
「・・・・・・・・・・・・」
「いつまでも二匹で仲良くするってばよ!」
ナルトが微笑みかけると、シルバーグレイの猫がちょっと生意気な顔で〝当然〟と髭をピンと立てて、つーんとすました。
「お、おまえってば、なかなか〝ツンデレ〟だってば」
図らずも猫たちの飼い主と同じ結論に辿り着いたとは知らずに、ナルトは立ち上がってコンビニへと踵返した。
そして、
「うぁ・・・・」
コンビニに帰ったナルトは、しばし店内を見回して「あー・・・」「うー・・・・」と気の抜けた声を出した。
「どーするんだってばよこれ。やっぱさーやっぱ、おバカニャルトだってばよあいつー・・・・」
散乱した雑誌に、猫缶、そのうえどこかの昔話のようにおにぎりがころころ。お菓子コーナーでは、山積みになっていた忍者グミ(主人公は忍者の少年であるはずなのに、なぜか学園もののオマケカード付き)が崩れている。
季節外れの台風に襲来したような有様の店内。
ヤマト隊長が帰って来る前に片づけなきゃまた恐怖統治だってばよ!と、思いつつナルトは、二匹の猫を思って笑みを零した。
その日、カカシはご機嫌だった。彼の、機嫌が良い理由は、大抵決まっている。1にナルト、2にナルト、3,4、5・・・・100にナルト関連だった。それはもう古い友人に、おまえはなんて簡単な男なのだと呆れられてしまうくらいだった。
これから、カカシは愛しくて可愛いあの子のアルバイト先に行く。今はその途中だ。後輩のヤマトをちょっぴり脅して、ナルトのシフト時間を、彼は完璧に把握していた。カカシを「ちょっぴりズレてるけど優しくかっこいい大人の男」だと思っているナルトが知ったら蒼褪めそうなことも、カカシはちっとも悪びれずやってのける。
好きな子との時間をつくる努力をして何が悪い。見た目はそれなりに美形で、黙っていればいい男な、カカシの心の中の言い分である。
それに今日は、自分の誕生日だった。例年のカカシは己の生まれた日なんて、ちっともめでたくなかった。むしろ十代から二十代前半などは、なんでこの世に生まれたのだろうと地面に蹲っては、生を受けたことを呪うのが普通だった。
いくらか「誕生日」と「折り合い」をつけたのはまだ幼いナルトと出会ってからだ。自分は生きていてもいいのだと許され、生きる意味を見つけた時、カカシは素直に誕生日を許容できるようになった。
今日、カカシはナルトを食事に誘う。365日の中で、この一日を選んだのは誰かにとってはなんでもない日でも、自分にとっては意味のある日だからなのかもしれない。
誕生日を好きな子と過ごしたいなんて、自分がこんなにロマンチストな男だとは(むしろ昔のカカシならサムい奴とせせら笑いそうな行いだ)思ってもいなかったが、どうにも「うずまきナルト」が相手だと、全てが特別らしいのだ。
ああ、なんて誘おう。台詞はなるべく軽いほうがいいだろうか。さり気なく、なんでもないことのようにやってのけたほうが効果的であることを、カカシはよく知っていた。そして、自分の言葉と一挙一動に、恥らって顔を赤めるナルトの表情を想像するだけでもカカシは、極上のワインを飲んだ時のような気分になる。味合うように、ナルトの表情を堪能してから、にっこりと笑って「オレは無害ですよ?」という顔で、誘えば、きっと優しいあの子はカカシの誘いを断らないにちがいない。
誕生日だということは、食事を終えるまで秘密にしておこう。
だってナルトが気を使うことは目に見えているから。
それに、恋人でもないのに、誕生日を一緒に過ごすなんて、重たい、と取られてしまう可能性がある。
隠しておくなんて騙すようで気が引けるが、ただカカシは、ナルトに好かれるために一生懸命なのだけだ。
だって、ナルトに嫌われたら、カカシは生きてはいけない。
今夜、カカシはナルトと一緒に過ごしたかった。他愛ないお喋りをして、笑顔が見れればそれでカカシは満足だ。まぁ、それはカカシも男なので、欲が出ないといえば嘘にはなるが、あの子に合わせて子供っぽいおままごとのような恋愛に付き合ってあげるのも、捨て難い甘美な誘惑だった。
角を曲がれば、ナルトの働く木の葉マートというところで、カカシはぴたりと静止した。銀色と金色の猫がいたからだ。
カカシが見掛けたのが、ただの猫なら彼は気にも留めなかっただろう。彼は物事に関心がない以前に、「ナルト」以外の事柄に関して酷く無関心だった。
ただそれが、見覚えある二匹だということが彼の歩みを止めた。それも一匹は、「ナルト」以外の全てに無関心なカカシにしては珍しく、とても〝可愛い〟と思う仔猫だったのだ。
カカシはこの二匹がkakasiとnarutoという名前を持つ猫たちだと知っていた。
ナルトには言わなかったが、無駄に観察力に優れた視力で二匹の首輪のプレートに刻まれている文字に気付いていたからだ。
「よ、また会ったねぇ」
二度目の遭遇にカカシは笑みを浮かべた。もちろん、灰色猫には意地悪く笑い、金茶の仔猫の方にはとろけるような優しい微笑みを向けた。
「おまえ、相変わらず可愛いねぇ・・・」
「・・・・にゃ、にゃーん」
そしてあろうことか、灰色の猫の前で金茶の仔猫を抱き上げたのだ。小動物特有のふこふこふにゃふにゃの感触を楽しみ、カカシの手の中で「ふみゃーん、ふみゃーん」と可愛らしく鳴く仔猫の喉を今度こそ、こしょこしょしようとした時、フシャー!!!と灰色の猫が怒髪天をつかれましたとばかりに怒って、カカシに飛び掛った。
「いてっ」
華麗に、カカシの手から仔猫を奪い取った灰色の猫に、カカシは青筋を立てる。
普段、カカシはこれほどむきにならない。だが、まるで、人間のナルトを奪われたような喪失感が襲って(もちろん金茶の猫は灰色猫の恋猫なのだが)人間さまに逆らうとはいい度胸だな!とばかりに、カカシが人間のプライドをあっさり簡単に捨てて灰色の猫に逆襲しようとしたその時だった。
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