ちょこれいと本舗
ここはちょこさんと猫さんの経営するお店です。
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twinkle twinkle 8
記入者 猫
twinkle twinkle
「いてっ」
華麗に、カカシの手から仔猫を奪い取った灰色の猫に、カカシは青筋を立てる。
普段、カカシはこれほどむきにならない。だが、まるで、人間のナルトを奪われたような喪失感が襲って(もちろん金茶の猫は灰色猫の恋猫なのだが)人間さまに逆らうとはいい度胸だな!とばかりに、カカシが人間のプライドをあっさり簡単に捨てて灰色の猫に逆襲しようとしたその時だった。
「そ、それはナルトのミサンガ・・・・!?」
ロールプレイングゲームの重要なアイテムを目の前にしたように、カカシは仰け反った。
カカシはわなわなと戦慄く。
灰色の猫が当たり前の顔で首輪の上から付けている紐は紛れもなく、ナルトのミサンガだった。それも、ナルトが普段から一日中つけている貴重な品なのだ。
ちょっと待て。ナルトの所持品なんてオレでさえ、一個も貰っていない。
ナルトがくれるものなら、ティッシュペーパーだろうが、噛んだあとのガムだろうが、なんだろうが、喜んで受け取れる自信がカカシにはある。それくらい、ナルトのことを愛しているのだ。
この気持ちは誰にも負けない。それなのに、なんでこのクソ生意気そうな顔の灰色猫が愛しいナルトの所持品(それも愛用品だ)持ってるわけ?
大体なんだ、人懐っこく可愛らしい金茶の仔猫に比べこの灰色猫は。つんと澄ましてスカしていて、ちっっっとも可愛げがないではないか。
目は三白眼だし、左目に傷は走っているし、そのうえ、体躯はしなやか、尻尾も長く、流れるような脚線美で毛並みは極上!?いやカッコイイな!?(混乱)
雷を受けたように固まる人間を前に、大人猫はあからさまに軽蔑したような冷やかな視線を送った。仔猫はきょとんとカカシを見上げている。
(それにさぁ・・・・・)
カカシにはもう一つ気に掛かることがあった。
寄り添うように、カカシを見上げる二匹。隣にいるのが当たり前というラブラブっぷり。
ぺろっと灰色猫が金茶の仔猫を舐めると、甘えるように金茶の仔猫が喉を鳴らす。
―――こいつら、デキてる・・・・・・・!!!
哀しいかな、恋仲の雰囲気というものは出るのである。そのうえ現在のカカシとナルトが尻に卵の殻が半分ついた状態なら、この猫たちといえば、もうなんだか大人の雰囲気が漂っているのだ。
明らかに一線を越えている。超えているったら超えている。
それに比べ、カカシとナルトはキス止まり。いや、それはナルトの気持ちを優先させたからで、その点についてはカカシは納得している。柔らかく、とろりとした水飴の中に包むように、ナルトの恋人の位置を得たいからであって、
だけど、だが、しかし、
猫に先を越されている!?
ショックのあまり固まったカカシに追い討ちを掛けるような出来事がさらにもう一つ。カカシを見上げた灰色の猫が、ふふんと鼻をつんとそやしたのだ。
笑われた・・・・・!?
猫なんて大嫌いだ(金茶の仔猫を除く)。その日、はたけカカシは断固として犬派を誓った。
シクシクシクシク・・・と道端で蹲って、カカシが落ち込んでいると、太陽を遮って、アスファルトに影が伸びた。
「・・・・・・・カカシ先生、こんなとこで何やってるんだってば?」
「・・・・・・へ?ナルト?なんで?」
見上げれば、怪訝そうに眉を潜めた金髪の愛しい子が、伺うように、カカシを見下ろしている。
「そりゃ、店の前で蹲られていたら気になるに決まってるってば」
ナルトの指差すコンビニの店内。確かにレジのカウンターからここは丸見えだった。
ごもっとも、とカカシは乾いた笑いを漏らすと、
「へらへらしてる場合ぢゃないってばよ!」
「へ?・・・ナルト?」
珍しくナルトに怒られる。嫌われた!?と思わずカカシが焦るが、
(だってナルトが怒るなんて滅多にないことだから)
「気分悪いってば?大丈夫?」
ぺと、と額に手が当てられ、自分の体温とカカシの体温を比べたあと「熱はないみたいだってば」とナルトが首を傾げている。
確認のためか、おでことおでこもくっつけられて、カカシは目を見開いた。
「陽射しにやられたのかなぁ。カカシ先生ってば、わりとひょろいから弱っちそうだもん。奥の控え室で休んでいくってば?」
その時のカカシの心情といえば、暗雲マイナス思考一転、空からラッパを持ったエンジェルが光臨したかの如くであった。
ナルトが気遣ってくれている!優しい!いや、いつも優しいのだが、いつもの倍、優しい!!
落ち込んでいた気持ちも全てどこかに消えてしまった。
「うわ、カカシ先生!?」
カカシの手を握り、「行こうってば?」と立ち上がり振り返ったナルトを、カカシはぎゅうぎゅう抱き締める。
「どどどど、どうしたんだってばカカシッ先生!?」
「んー・・・んー・・・ちょっと眩暈が」
「うお、まぢで!?それは大変だってば!」
ナルトは倒れ掛かってくるカカシを支えようと一生懸命だ。眉を八の字にして、心配してくれている少年には、悪いが、役得♪役得♪と、カカシはこっそりニヤけてしまった。
その日は、猫にバカにされたり、追い抜かされたり(?)、踏んだり蹴ったりなカカシであったが、彼の長年の(それはもう本当に長年の)想いが、彼曰く世界一愛しい少年に届くまであとちょっとだった。
カカシはナルトと付き合い始める、
それも今夜。
End
0915企画にお付き合い下さりありがとうございました。
この二人と二匹で、ナルトの誕生日にも何かしましょうか、という話が持ち上がっているんですが、如何でしょう?
(え、いらない?そんなこと言わずに!)
人カカシ&猫カカシの因縁の座談会・・・なんてどうでしょう・・・・?^^
それではまた~。
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