ちょこれいと本舗
ここはちょこさんと猫さんの経営するお店です。
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twinkle×twinkle 2
記入者 猫
その日、カカシは河原を散歩している途中だった。彼は悩んでいた。
他ならぬ、ナルトの誕生日が迫っているからである。
どんなプレゼントがいいだろうか。自分の誕生日の日の時は(正確には真夜中にまでなだれ込んでいたが)、この世界にこれ以上ないというくらいの最高のプレゼントを貰った。
それから一ヶ月もしないうちにナルトの誕生日である。いったい何を用意すればいいか、皆目カカシには見当がつかなかった。そもそも彼は、誰かにものを贈るということをほとんどしたことがない。
また、したい、と思ったこともほとんどなかったため、そうしたことに酷く疎かった。
そうこうしているうちに誕生日当日である。カカシはマフラーを巻いて、思い出の河原を歩いていた。
(もういっそ現物支給・・・・・オレ、とか)
追い詰められたカカシの思考が段々危ない方向に向かっていく。
(いやいやいやいや、それだとオレがうれしいだけでしょ・・・・・・ああああああ、でもそれもいい・・・!いやいやいやいや、理性、自制心、理性、本能・・・・・!!)
はぁ、とため息ひとつ吐いて、がっくり項垂れていると、ニー・・・となんとも聞き覚えのある声がした。声、というか鳴き声だったのだが、そこらへんはご愛嬌。さっくり流して頂きたい。
鳴き声の主は、一般人の視界よりだいぶ下がった位置にいた。一人落ち込み道端の公共機関で悶えていた自分に声を掛けてきた奇特な人物・・・もとい猫に顔を向ける。
しなやかな体躯。一般猫とは思えないトップレベルの毛並み。ただ残念なことに左目に、大きな傷がはしっているが、逆にそれがこの猫に貫禄を与えている。
何よりにゃんこちゃんのくせにこの人間さまを小バカにしたような、この不遜な態度は・・・・・・・
間違いない、あのクソ生意気且つ可愛げのないシルバーグレイの猫が、つんと顎を逸らして、カカシの前にいたのである。
何度目かの遭遇。もとい、対戦(!?)の火蓋が切って落とされた。
天敵。読んで字の如く天が与えた敵。はたけカカシの場合、虫唾が走る生き物にも適用。いくとこまでいっちゃってる猫カップルが羨ましかったので逆恨みとも言う
「・・・・・・・・・・よぉ、〝オレ〟」
膝に手を当てたままの姿勢で、カカシが完璧な三白眼で相手を迎え撃つ。対する、猫も自分の倍はあるだろう人間相手にちっともたじろぐことなく、百戦錬磨の顔で一歩とて引かない。もちろんこちらも完璧な三白眼である。
「今日は相方の仔猫の姿が見当たらないみたいだねぇ、なに、喧嘩した?それとも浮気されちゃったとかぁ?」
ぴくりとカカシ猫の髭が揺れる。それまでクールだったオッドアイが剣呑に細められ、双方の間で、陰湿な炎がゴゴゴゴゴ・・・と燃え上がった。
そんな一人と一匹の因縁の対決の場面に偶然通り掛ったのがご近所の団地に住む奥さんと幼稚園児の子供だった。
自分の手を引く母親を見上げて幼稚園指定の黄色い帽子を被った子供はカカシと猫を指差した。
「ママー、猫とお話ししているお兄ちゃんがいるよー」
疑問に思ったことはなんでもお母さんに尋ねてみたい年頃なのである。「みてみてー」と繰り返す我が子を母親の女性は慌てて掻き抱いた。
「しっ、あの人は頭の可哀想な人なのよ。見ちゃいけません!」
「えー、なんでー?」
彼女の前には人間の成人男性と猫、どうみても猫にしか見えない猫がフシャーとお互いに唸りあっている光景が広がっていた。それも、一方的に人間が苛めている動物虐待なのかといえばそうでもないらしく、おそらく対等に人間と猫が喧嘩をしているのである。
ふう、くらり。ついていけない。専業主婦の彼女にはちょっと身が重過ぎるヘビーな光景であった。かといって、サラリーマンがこの光景を見たとしても怪訝な顔で無視をしただろうし、女子高生は「まぢ、痛い人なんですけどー!」と指差し大爆笑したに違いない。
「まーくんはあんな大人になっちゃいけません」
昼間なのに、仕事もしないでうろついて・・・。きっと今流行のニート・・・無気力な若者(?)なのだわ、と母子はカカシたちを遠巻きに眺めて去っていった。
一方、人様から「可哀想な人」と思われたことなど知らないカカシは猫相手に自慢げに胸を反らしていた。大人気ない・・・いやそれ以前に人間としてどうなの、という態度である。彼に猫愛好家同盟から剃刀レターが送られてくる日も遠くはないだろう。
「なあに、まさかおまえも〝ナルト〟の誕生日プレゼントを探しているとかいう?」
「二っ、二ィー・・・・!?」
「ふふん、図星みたいだね。ていうか世の中には同じ人間が三人いるっていうけど、まさか誕生日も一緒とはねぇ」
「二ー・・・・・・・・・・・」
「ま、この間はオレの完敗だったけど?今はオレたち人間の方も付き合っちゃってるんだよねー。そりゃ、もうご近所から羨ましがられるほどのラブラブっぷり!」
「ニッッ・・・!」
こっちだって、と負けずに灰色の猫が鳴き返す。そのまま一人と一匹はどちらからともなく、歩き出し、そのスピードはだんだん上がっていく。
そのまま、二人は河原の道を全力疾走。負けるものか!!!!!とお互い物凄い勢いで追い越し追い抜かしが始る。足のリーチは人間カカシの方が圧倒的に長いが、猫カカシは俊敏な足を持っている。加えて猫カカシは人間カカシと違い普段からちゃーんと運動をしているのである。(野生の本能に従いネズミ捕りとか)一方インドアがちのカカシは四足動物におされ気味である。
どのくらい走ったのかは定かではないが、先にばたりと倒れたのは、人間のほうだった。日頃の運動不足が祟ったらしい。
「お、おまえ。なかなかやるね・・・・」
「にゃあ(おまえこそ人間のくせになかなかやるな)」
勝利した猫の方も薄っすらと汗を(掻きません)・・・ではなく、若干息を乱している。人間カカシの方はすでに地面とお友だちである。ゼーハーゼーハーと息を切らして、一人と一匹は河原にヘタり込む。
「・・・・・・・・・」
寝転がると秋空が広がっていた。青い空だ。どこかの猫ナルトなら、あそこの空がサンマにみえるってば!と言っていることだろう。
人間ナルトなら食欲の秋だからラーメン食べに行こうってばよ!!と言ったところだろうか。
しばらくの無言のあと・・・一人と一匹は
「(しばらく休戦しない?)」
どうやら意見が揃ったようだった。
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