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ちょこれいと本舗

ここはちょこさんと猫さんの経営するお店です。
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twinkle×twinkle5

記入者 猫



――オレたち友達になれるような気がするよな。
 
 
「カカシ先生……!」
そこにいたのは、私服姿のうずまきナルトだった。
「あ。ナルト……!」
カカシはカップ酒を放り出すと、仔犬か何かのように、ナルトへと駆け寄って行く。宙に放り出されたカップ酒の残りは、危なく猫カカシのどたまに直撃するところで、難を逃れる。彼が動作の機敏な四足動物であることが幸いしたのだ。
「ナルトー、ナルトー。どぉしたの。お散歩?お出かけ?オレとデートしようか?」
「うわ。カカシセンセー酒臭せぇ…」
カカシ先生、もしかして酔ってる?とナルトが顔を顰める。ナルトの言葉にカカシはひと時思案した後「酔っちゃった~」と確信犯の顔でナルトに抱きつき始めた。
嘘を吐け、嘘を!!
「ふみゃ!?」
普段はクールでカッコいい大人猫は、コント顔負けの動作で盛大にコケた。
はたけさん友情は?とどこからかツッコミが聞こえてきそうだったが、いや実際に猫カカシは物凄く物言いたげに人カカシのことを見つめていたのだが、はたけカカシと言えば、先ほどのセンチメンタルな気分はどこ吹く風で、餌を与えられた犬の如くナルトの前に立っていた。
「えー。だってやっぱりナルトが一番だし?所詮は目の前の毛玉生物より可愛いナルト? 猫よりナルト?」
こいつううううううう…という顔で猫カカシが歯噛みをしている。その顔はまさにナマハゲだ。
「うぁ、あの顔ちょー可愛い!!」
カカシの足元にいたシルバーグレイの猫に気が付いて、ナルトがはしゃいだ声を上げた。しつこく記述するが、ナルトのアパートは動物類の飼育が禁止なのである。
「え。おまえ、趣味が悪いんぢゃないの」
「センセ、センセ。あ、あごこちょこちょしていいかな!?」
「……え!」
「オレ、犬もいいけどにゃんこちゃんも飼いたいなぁ~…」
「やめときなよ、引っ掻かれるよ。そんな猫よりオレの家の犬の方がカッコイイよ…」
「え。カカシ先生、犬飼ってるの?意外だってば」
「あ…あぁ、8匹くらい」
思わぬところにナルトが食いついて、カカシが戸惑ったように答える。
「え、本当に。すっげー。カカシ先生って実は愛犬家って奴?」
「いや。そういうわけでは…捨て犬に餌をやってるうちに増えちゃっただけだから」
「へえ。今度見に行ってもいい?」
昔は犬猫問わず動物嫌いだったカカシだが、今はそうではない。カカシの頭のてっぺんにお花が咲き乱れそうになる。
そのまま、ナルトの腰に手を回し、「さ、行こっか」と巧みに公園の外まで先導する。ちなみに、背後で、裏切り者―!という物悲しい猫の鳴き声が聞こえていたかもしれないが、カカシの耳にはすでに届かなかった。
 
 
 
 
ちょっと寄りたいところがあるんだけど、とナルトに促されて行った場所はナルトのアパートの前だった。
「これ、カカシ先生に誕生日プレゼント。ちょっと遅れちゃったけどな!」
自分の部屋から取って返したナルトの腕に抱えられていたのは、〝ウッキーくん〟とマジックで書かれた植木鉢だった。
「え」
「オレの部屋で育ててた観葉植物なんだ。どうしてもカカシ先生にプレゼントしたくて…先生、貰ってくれる?」
「…………」
「カカシ先生?」
「………あ、ごめん」
「嬉しくなかった?」
「いや、凄く嬉しいよ。ナルト、ありがとう」
カカシは壊れ物を受け取るように、ナルトから鉢植えを受け取る。今日は、自分の誕生日なのに、カカシばかりを喜ばせてしまう少年を、カカシは、抱きしめたい気持ちでいっぱいになったが、鉢植えを持っているために、それは適わない。
代わりに、少年を片腕で抱き寄せると「大好きだよ」と耳元で囁いた。ニシシと例の笑い声が聞こえてくる。
そのあと今日はバイトだとがっくりするようなことを言われ、仕方なくカカシは、ナルトをバイト先のコンビニまで送ることにした。
「あーっ。カカシ先生。オレってばあれやりたい」
今度から自分の誕生日や記念日には休みを取るように教えてあげなきゃな、と思いつつ、ナルトとナチュラルに手を繋いで、ぶらぶら歩いていると、ナルトが小学生の男の子が好き好んで集めそうなカプセルトイを指差した。
ナルトに何かを強請られることは滅多にないので、カカシは反射的に小銭を投入していた。まったくこれがナルトでなければ、良いカモであっただろう。
「カカシ先生が回してってば」
「え。おまえがやればいいでしょ?」
「いいから。オレがやっても意味がないんだって!」
恥ずかしいなぁ、いやだなぁと思いつつ、ナルトに促されるままカカシはガコンとボトルを回すと、安っぽいプラスチック容器が転がり出てくる。カカシはカプセルを開けて、中から出てきたオレンジと碧のミサンガをナルトに「はい」と渡した。
「サンキュ。プレゼントはこれでいいってばよ」
「えっ、えっ、これが!?でもこれただのガチャポンだよっ」
カカシはいつもは眠そうな目を見開いて、慌てた。しかし、カカシが次の文句を言う間もなく、最近の若者らしい細っこい腕に、ミサンガがするすると嵌められる。
ショックを受けた犬のような表情のカカシに気付いて、ナルトは苦笑した。
「あのさカカシ先生。オレ、思うんだ。世の中にはキラキラした宝石や何百万円もするプレゼントを貰って喜ぶ人たちがいる。だけど、それってどれだけ価値があるんだろう。プレゼントの価値は値段で決まるのかな。でも、どれだけ高いものを貰っても満たされない人っていると思う。それとは逆に、玩具の宝石やコンビニのお菓子でもそれ以上に感動できる人がいる」
ここに出来る差ってなんだろう。
何が、誰かと誰かの道を別けるんだろう。
「別に、プレゼントは高くなくてもいいんだってば。百円でもいいから買う時に自分のこと考えてくれたのかと思うと嬉しい。オレのために時間を割いて、悩んでくれたその時間が最高のプレゼントだってば」
「…ナルト」
「カカシ先生ってば今日一日中悩んでくれただろ。それがオレにとっては何よりのプレゼントだってば。カカシせんせぇ、ありがとう。大好き」
ミサンガを付けた腕がカカシの首に絡められる。道端で、ナルトから抱きついて来てくれることは、珍しい。それだけで、カカシの心臓は情けなくもどきどきとしてしまった。
「ナルト…!」
「なに?」
「や、やり直させてっ。次はちゃんとナルトのことを考えて買うからっ」
「えー、これでいいってばよ」
ナルトが力なく笑う。
「だ、だめ。これは買う瞬間におまえのことちゃんと考えてなかったからっ」
「んー…カカシ先生がそういうならいいってばよ?」
どっちが年上だかわからない会話をして、カカシもそれに気付いたのだろう、ナルトがまた笑うと今度はカカシも笑った。
「カカシ先生がくれるものならなんでも嬉しいってばよ」
 
 
数日後、ナルトの手首にはナルトが買ったものではないキラキラと光る銀色のチェーンが輝いていた。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
☆人カカナルターン終了です。置き去りになった猫カカシに応援のメッセージをどうぞ笑。
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ようこそいらっしゃいました。こちらはカカシ先生とナルトくんに愛を注ぐお店です。同好趣味のお客さまに限りごゆるりと御寛ぎ下さいませ。お約束として店内全作品の無断転載は禁止させて頂きます。
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↓店主たちにささやかなチップをあげる。
店主:
ちょこ&猫
略歴:
ひょんなことから出会った一人と一匹。かなり仲が良いらしい。

店主1号 ちょこ
本店: blue shooting star

店主2号 猫
本店: 空気猫
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